第38章 遠輝グループの次男

「放して」

橘結衣は男の指を一本ずつこじ開けた。

橘翔太は、相手が小さな少女だと侮っていた。だが次の瞬間、まるで玩具の留め具が外れるみたいに、手があっさり外される。

結衣は彼を突き放し、露骨にうんざりした顔をした。

「しつこい」

そのまま足早にオークション会場の入口へ向かう。

入口には、制服姿で拳銃を携えた警備員が二人。

橘翔太はそれを見ただけで眉間に深い皺を刻んだ。結衣が何をやらかすつもりなのか、想像したくもない。

怒りを噛み殺し、追いかける。

警備員が冷ややかに結衣を制止した。

「失礼します。招待状をご提示ください」

橘翔太の顔色が一気に悪くなる。結衣が招待状なんて...

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